公務員を10年勤めてから、30代半ばで民間企業へ転職したユウキです。
公務員の仕事が好きになれず、転職したい方への参考になればと思い、ブログを書いています。
私が公務員をやめた理由など、自己紹介はこちらの記事にまとめていますので、もしご興味あればご覧ください。
この記事では、私が公務員から転職したいと伝えたときに良く言われた、
「公務員から民間へ転職するなんてもったいない」
「公務員でいたほうが良い」
という周りからの意見に対して、私自身の経験をもとに論破していきます。
結論としては、以下の2点です。
- 公務員を辞めるのは全くもったいなくない
- もったいないのは公務員の仕事ではなく、あなたの人生
公務員を辞めるのがもったいないかどうかは、自分で決めることだね
もったいないと言われる理由を自分で考えないとね
この記事で分かることは次のとおりです。
- 「公務員辞めるのもったいない」と世間で言われる理由は聞かなくて良い
- 公務員を辞めたほうが幸せになれる人もいる
- 公務員から民間企業へ転職するコツ3つ
- 公務員を続けるのもデメリットがある
2018年の1年間だけで、約45,000人の公務員が普通退職(定年退職、勧奨退職以外)している時代です。あなたが公務員を辞めたいと思うのも珍しくありません。(総務省 令和元年度地方公務員の退職状況調査)
公務員から民間へ転職したくても辞められないあなたが読めば、
- 公務員を続けるべきかモヤモヤ悩んでいる頭が整理され
- 公務員の実態を知らない人の意見は聞く価値がないと気づく
ことができますよ。
公務員を辞めるのがもったいないと言われる3つの理由
著作者:Freepik
大手通信教育会社Benesseの2020年の調査では、高校生がなりたい職業ランキング第1位が「地方公務員」。
公務員と言えば安定した仕事。「公務員を辞める」と伝えるともったいないと言われることも多いですよね。
辞めるともったいないと言われる理由は、以下の3つ。
それぞれ詳しく解説していきますね。
理由1:解雇もなく、毎年昇給も見込める
著作者: pch.vector on Freepik
会社がなくなることがあっても、公務員の職場がつぶれることはほぼありません。公務員は民間企業に比べて安定した職場と言えますね。
不祥事などを起こさなければ解雇もなく、頑張らなくても毎年給料が上がっていきます。
自分が40歳、50歳になった時の給料がある程度分かるのが良いところだね
マイホームをローンで買う時とか、給料の見通しがつくと安心できるわね
ただ、「つぶれない組織」でもあなたがずっと働き続けられるわけではありません。
私のまわりでも
- 病気
- 心の病
- パートナーの転勤
などが理由で、しかたなく公務員を辞めていく人を何人も見てきました。
組織がなくならなくても、自分が公務員を続けられなくなる可能性はあります。
理由2:公務員になれるのは選ばれた人
公務員になるには公務員試験に合格しなければなりません。
- 学生時代の1年間を公務員試験に使い
- 倍率5倍以上の難関試験を突破して
ようやく公務員として働き始められます。
公務員になるのが大変だったから、辞めるのがもったいない……
転職しても今より良くなるとも限らないし……
「公務員を辞めるのはもったいない」と考える前に、あなたは公務員の仕事が好きですか?
あなたが30代なら、これから30年、40年と公務員の仕事を続けることになります。一度辞めると公務員に戻れないからという理由で、嫌いな仕事を続けるのは苦しくないでしょうか?
私は自分が死ぬときに
「公務員を辞めて転職すればよかった……」
と後悔するのが嫌でした。
転職してから5年目ですが、
- 家族とも毎日話す時間がある
- 貯金も毎年60万円以上
という生活ができています。
転職で人生の満足度が上がりました!
転職した今の生活は「【体験談】公務員から民間への転職はきついのか?結果→仕事が楽しく&残業激減」で詳しくご紹介しています。
転職後の生活が不安な方のお役に立てる記事かと思います。
あなたが公務員を続けるかどうか決めるのに、公務員になるのがどれだけ難しかったかは関係ありません。
自分がどういう人生を過ごしたいのかを考えて、転職するかを決めましょう。
理由3:ノルマもなく、ラクな仕事だと思われている
公務員ではない人から良く言われるのが
- ノルマもない
- 定時で帰れてラク
という公務員のイメージですね。
私が公務員として10年以上働いていて気づいたのは
- ノルマはないが、業務量が多すぎて深夜まで残業
- 定時で帰れる人はほぼゼロ。深夜までみんなよく働く
- 業務量は増えるのに人は減らされ、辛い未来しかない
という公務員の現実でした。
民間に転職してみたら、公務員のほうがよほどブラックな職場だったよね……
公務員の労働環境を民間の友達に話したら、ひどい環境に絶句してたね……
公務員が民間に比べてラクなんてことはないです。あくまでも職場によります。
公務員は忙しい職場が多いのに、人は減らされる一方。
この状況では、ラクになる気配がまったくありませんよね。
業務効率化をしようと思っても、
- 法律や条例で変えられない
- 変化を嫌う上司が改善アイデアを却下
など、自分で労働環境を変えようと思っても難しいのが公務員の現状。
私の場合、民間への転職後は以下のように圧倒的にラクになりました。
- 残業時間:月平均80時間→20時間
- パワハラ:ほぼ毎日怒鳴られる→怒鳴る人が誰もいない職場
- 通勤時間:1時間以上→0分(フルリモート勤務)
体が本当に楽になり、子供と遊ぶ体力も休みの日は十分ありますね。
公務員を辞めた後の生活を知りたい方は、別の記事「【実体験】公務員から転職してよかった!後悔は3つだけ」を読んでいただければ幸いです。
公務員はなかなか過酷な職場だと思いますよ。
公務員を続けるメリット・デメリット
「公務員を辞めるべきなのか?」を考えるには
- 公務員を続けるメリット
- 公務員を続けるデメリット
をそれぞれ比較すると判断材料が揃います。
簡単に考えれば、「公務員を続けて自分が幸せになれるのか」を考えれば良いわけです。
自分が公務員をやめようと思っていたときに考えていた公務員を続けるメリットとデメリットは次のとおりです。
それぞれ詳しく解説していきますね。
1. 公務員を続けるメリット
公務員を辞めるときに「もったいない」と感じてしまう、公務員のメリットは以下のとおりです。
1.1 クビにならない
公務員の一番のメリットは解雇の心配がほとんどないこと。
支える家族がいる人にとっては最大のメリットですよね。
- 子供の教育費
- 住宅ローン
- 老後の資金
など、長期的な計画を立てやすい環境が整っています。
1.2 給料が右肩上がりで安定
公務員の給料は年齢とともに上がっていき、安定した収入が期待できます。
若い頃は同世代と比べても高くはない給料も、40代、50代になると順調に上がっていくのが特徴です。
総務省の令和4年 地方公務員給与の実態 令和4年4月1日地方公務員給与実態調査結果によると、経験年数別には以下のとおりです。
右肩上がりで給料が上がっていくのが分かりますね
業績に左右される民間企業とは異なり、定期的な昇給が見通せるので、将来への不安を少なくできる大きなメリットです。
1.3 民間ではできない公益性の高い仕事
公務員の業務分野は、採算がとれなくて民間企業ではできない
- 社会インフラ(水道、道路など)の建設&維持
- ゴミなどの廃棄物処理
- 子供や高齢者向けの支援事業
など、社会の根幹を支える仕事を担っています。
「人の役に立ちたい」と思って公務員になった人にとっては、地域社会や国のために直接貢献できる仕事は、大きなやりがいを感じるものです。
2. 公務員のデメリット
安定していて社会への貢献度も高い公務員の仕事ですが、デメリットも多くあります。
公務員を辞めるキッカケとして多いのは次の3つです。
2.1 悪くなる一方の労働環境
世間の「楽で良いなぁ、公務員は」というイメージとは異なり、公務員の労働環境は年々厳しくなっています。
どの県、市町村も財政が厳しいため、人員は減り続けて一人あたりの業務量が増える一方です。
一人でいくつもの事業や補助金の担当になることもあるよね……
少し前なら2人くらいでやっていた仕事を今は1人がこなしていることも……
そんな状況なので
- 毎日21時過ぎまで残業
- 家に帰るのは家族が寝てから
- 休日も地域の行事やボランティアに強制参加
など、家庭を持つかたにとっては、労働環境の悪化は大きなデメリットですね。
2.2 専門性が身につかない
公務員は3-4年ごとに部署異動し、民間でも使えるような専門性が身につきません。
「この分野がやりたい!」と思っても必ず異動になり、全く関係のない分野に行くことも多いですよね。
市役所に勤めてる友達、農政課から子育て支援課に行ったな……
転職したくらい、仕事内容や知識が変わって大変そうだよね
公務員から転職したいと思ったとしても、民間企業に「これが出来ます」と言えるような専門スキルが磨けないこともデメリットですね。
2.3 頑張りが評価されない
公務員はいくら頑張っても、昇進も給料についても報われない仕事です。
暇な部署で毎日定時で帰っている同期と比べると、以下が現実です。
- 基本給は増えない
- 残業代も予算払われないこともある
- 年功序列なので同期より早く昇進することもない
こんな状況じゃ、頑張るのがバカみたいだよね……
忙しい課にいるのに働かないおじさんより自分の給料が低いのも許せない……
自分も残業で月90時間を超えていたとき、人の仕事にケチをつけるだけで何も作業しない50代の方がいました。当時の自分より月15万円も給料が多くて、絶望しかありませんでした……
しかも当時は月の残業をいくらしても、月額3万円しかもらえなかったね
民間企業ではできる人を早く昇進させ、仕事しない人は評価を低くおさえていきます。そうしないと、会社の業績が上がらず、会社がつぶれてしまいますからね……
私が転職した会社も、自分より入社年が低い方がすでに部長(私の2階級上)になっていたりします。
「自分の努力や成果を評価してほしい」
「仕事ができる人は昇進させてほしい」
と強く思う人には公務員は辛い職場になってしまいますね。
実際に転職してみて感じた公務員を辞めるメリットとデメリットについては、過去記事「【実体験】公務員から転職してよかった!後悔は3つだけ」でご紹介しています。
- 職場の人間関係
- ワークライフバランス
- 収入が減っても貯金ができるのか
など、転職後の生活が不安な方は読んでいただければ、生活イメージがつくかと思います。
公務員から転職するための3つのコツ
公務員から転職するためのコツは次の3つです。
- 公務員在職中に内定を獲得する
- 公務員として身に付けた能力をアピールする
- 友人や転職エージェントの人の助けを借りて転職活動をする
初めての転職は誰でも不安なもの。
本業がある中、限られた時間で転職活動を成功させる必要があります。
他の人の力を借りながら効率的に行う方法については、こちらの記事「【30代でも可能】公務員から転職したいあなたの5つの不安への回答」で詳しくご紹介しています。
それでも辞める勇気が出ないあなたへ
「公務員を辞めたほうが良いのは分かっている……」
「それでも公務員に戻れないかと思うと、勇気が出ない」
「公務員はそれなりに恵まれているし、転職して条件が悪くなったら後悔しそう」
公務員を辞めるのってとても勇気が必要ですよね。
私も勇気が出ず、結局11年も公務員を辞められませんでした。
そんなあなたに考えてほしいのは、公務員を続けると以下の未来が確実にやってくるということ。
- 自分の興味と関係なく異動がある
- 他人にキャリアを決められてしまう
- 公務員を辞めても生きていけるスキルが身につかない
こんな未来が確実な公務員を続ける方が、転職するより恐くありませんか?
たしかに公務員を続けることも怖くなってきたな……
スキルがあればどこでも雇ってもらえる!そういう状態が「本当の安定」なんじゃないかな
上記のデメリットを受け入れて公務員を続ける人生。
公務員ほどの安定がなくても、自分のやりたいこと、稼げるスキルが身に付く人生。
あなたがたった一度の人生で選ぶのはどちらでしょうか。
「自分が死ぬときに後悔しない人生はどっちだろう?」と考えた結果、私は公務員を辞めて自分が楽しいと思える仕事に転職しました。
総務省 令和2年度 地方公務員の退職状況等調査によると、令和2年度の普通退職者(定年退職者以外)35,606人おり、その大半が転職をしていると考えられます。
公務員を辞めるのも「普通」になってきてるよね
公務員を辞める人のうち、私のような一般行政職かつ30代以上で公務員を普通退職する方が65.2%と、多数派ということが分かります(下記グラフ参照)。
20代じゃなくても転職できる証拠ですね
ただし、公務員から転職したほうが良いかどうかは人によります。
あなたが転職したほうが良いタイプかどうかは「公務員を続けるべきか【転職したほうが良い3つのタイプ】」でご紹介しています。
もし自分が転職すべきなのか分からないとき、考えを整理するのに読んでみてください。
【まとめ】公務員を辞めるのはもったいなくない
公務員を辞めるのはもったいなくありません。
本当にもったいないのは、好きでもない公務員の仕事にあなたの人生を使ってしまうことです。
周りの人は「公務員辞めるなんてもったいない」と言ってきますが、あなた以上に公務員の悲惨な現状を知る人はいません。あなたがどれだけ辛い思いをして公務員の仕事をしているのかも知りません。
事情を知らない人に何を言われようが無視でOKです
ただ、公務員をいきなり辞めるのはオススメできません。辞める前に具体的に次の4つのポイントを考えましょう。
- 自分は公務員を辞めて何をしたいのか
- 公務員の何が嫌いなのか(働き方なのか、仕事内容なのか)
- 自分の生活費にいくら必要なのか
- 転職サイトでやりたい仕事が見つかるのか
「公務員を辞めたい」と思っても、必ず転職先を決めてから退職を伝えるようにしましょう。
その理由は内定率が低く、転職先が決まるか分からないから。
転職サイト「マイナビ」によると、一つの企業に100人応募があれば、
- 書類選考を通過するのは30人
- 一次面接を通過するのは9人
- 最終面接を通過して内定を得るのは4~5人
とのこと。
最終面接を通過するのは4%~5%だけってことだね……
内定をもらえる確率は低いから、働きながら転職活動をするのが必須ね
大手のリクルートエージェント、DODAなどの転職エージェントは完全無料でネットですぐ登録できて、求人が確認できます。
私は2回目の転職活動でリクルートエージェント、DODA両方を使っていますが、毎日数十通の求人がメールで来ます。登録だけなら電話もかかってきませんし、無料なので登録しないと損です。
面談が面倒な方でも、面談なしでも使い始めることはできます。
ただ、私は面談を早めにすることをオススメします。リクルートエージェントなどの転職エージェントと一度面談をすることで、以下のメリットがあるからです。
- 自分の興味や関心、能力を伝えられる
- 転職エージェントがあなたに合わせた求人を紹介しやすくなる
- 人に話を聞いてもらうことで、自分のキャリアを考えやすくなる
私が実際に使った転職エージェント3社の比較は、「【30代公務員】使ってみた転職エージェント3社メリット&デメリット」にまとめています。
どの転職エージェントにするか迷っている方のお役に立つかと。
自分の人生を決めるのは自分だけ。
考え抜いて、公務員として働き続けるのもアリです。
ただその前に、公務員以外の選択肢を知っておいて損はない。
少しでも好きな仕事、興味の持てる仕事をすることで、人生がきっと楽しくなるはず。
あなたの人生が転職によって楽しく、充実したものになることを願っています。
それでは、また。